作る
2017.9.13
少しの手間と心がけ。盛り付けで変わる料理の印象。
私は昔、学生時代に仕出し割烹の和食屋さんでアルバイトをしていました。
そこはとても小さな家族経営のお店だったので、時々アルバイトの私も簡単な調理補助をしていました。(温泉卵をむいたり、エビの殻を外したり…)
その中でも特に興味深かったのが煮物の盛り付けです。
大将が一つ見本を作り、それを見ながら他の煮物鉢を仕上げていくのですが、初めてそれを見た時、驚きというよりも感動したのを覚えています。
なんて色鮮やかで美しいのだろう!と。
私の実家で煮物といえば、大皿にドカンと盛られていて、気が付くと男兄弟にお肉を全部食べられて残っているのは茶色い根菜ばかり…というような大雑把な料理で育ったので、煮物=印象が薄い&あまり美味しくなかったという記憶でした。(お母さんゴメンね!)
なので、美しい和食、繊細な煮物との出会いは衝撃でした。
そういった事を経験し結婚して主婦となり、さらに料理全般を任されるようになり思うのは、日頃の何気ない手軽な料理でさえも盛り付けを意識するだけで、より美しく、より美味しそうに見えるという事です。
そこで今回は、家庭料理の大定番「肉じゃが」を例に、盛り付けについての自分なりのコツを書いてみようと思います。
肉じゃがの盛り付けには2つのパターンがあると思います。(私の勝手な分類です)
○割烹風
○デパ地下惣菜風
の2つです。
今回用意した肉じゃがの具材は、豚肉、ジャガイモ、ニンジン、玉ねぎ、いんげん(定番の絹さやが手に入らなかったので)です。
まずは割烹風の盛り付けです。
これは、豚肉は豚肉でまとめて、ジャガイモはジャガイモで、と具材をそれぞれパートに分けて盛り付けています。
一つ一つ具材をお箸で運んで器に盛り付けていくので、割烹料理のように丁寧でピシッとした印象になるのではないでしょうか。
続いてデパ地下惣菜風の盛り付けです。
これは、どこから見ても均一に全ての具材が見えるように盛り付けています。
これがもっと大量だとデパ地下のお惣菜にありそうな雰囲気です。
賑やかで家庭的な印象がするのではないでしょうか。
並べてみるとこんな感じです。
同じ器に同じような量を盛り付けました。
こうやって比べてみたものの、どちらが良いと感じるかは完全に好みだと思います。
しかし、料理の目指したい雰囲気や具材の量によって盛り付けを変えてみると、また印象が変わると思うので、その例をご覧ください。
割烹風の盛り付けは、少量を盛り付ける場合に意識すると良いのではないかと思います。
この時に、器の奥の方から手前へと順番に盛り付けていくのがポイントです。
例えば、少しだけ余った前日の夕飯のおかずを小皿で出したい場合など、割烹風に盛り付けるだけで、残り物感が薄れて立派な一皿に見えるのではないかと思います。
一方デパ地下惣菜風の盛り付けは、まさしく大皿に盛り付ける場合に向いているのではないかと思います。
おそらく普段何気なく盛りつけると、だいたいこのパターンになると思います。
その際は、フライパンやお鍋からそのまま流すようにお皿に盛るのではなく、出来るだけ少量ずつを何回かに分けて、お皿にそっと添えていくような感覚で盛り付けると綺麗に仕上がると思います。
最後に、まんべんなく具材が見えるように調整する事も綺麗に見せるポイントだと思います。
そして、どんな盛り付けにも共通する美しく&美味しそうに見せるポイントは、
○真ん中を高く、山のように盛る
○器に余白を残す
事だと思います。
これらを意識するだけで、器の中が整って随分まとまると思います。
イメージでいうなら、料理の姿勢がよくなる!といった感じでしょうか。
そんな事を考えながら、肉じゃがをメインに用意した、ある日の夫の晩酌ごはんです。
肉じゃがはデパ地下惣菜風に盛り付けました。
この日の献立です。
・梅干のせご飯
・お味噌汁
・肉じゃが
・出汁巻き卵
・アスパラのおひたし
・野菜サラダ
・アボカドのわさび醤油和え
・ミョウガともずくの酢の物
・枝豆
・梨
そして、同じ日の娘の夕飯です。(2歳8ヶ月)
娘の肉じゃがは少量だったので、割烹風に盛り付けました。
・肉じゃが
・出汁巻き卵
・枝豆
・お茶漬け
・バナナ
そして、肝心の肉じゃが以外は完食という結果でした。
今回のコツは、煮物である肉じゃがを例にしましたが、馴染みのある料理でいえば野菜サラダなんかも当てはまるのではないかと思います。
少しの手間と心がけで、食卓はグッと丁寧に見えると思います。
小さなコツですが、皆様のお役に立てるのなら嬉しいです。
この記事のライター
- 柏崎和佳子
- 野菜嫌いで食いしん坊な娘の幼児食&健康オタクな夫の晩酌ごはん作りに奮闘中の専業主婦。 栄養バランスと季節感を大切にしたごはん作りを心がけています。